社会人となり働きはじめると、しばらくの間は毎日の生活が仕事中心になるものです。まだ時間がある学生のうちに、結婚、子育て、老後など……これからの長い人生において必要となるお金を把握し、貯蓄の習慣を身に付けていきましょう。この記事では、ライフイベントにかかるお金や、貯蓄と投資の基本をまとめてみました。

1. ライフイベントにかかるお金ってどれくらい?

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社会人となれば自分が稼いだお金を貯蓄するか否かは自己責任となり、貯蓄できる人とできない人がはっきり分かれる傾向にあると言われています。貯蓄ができる人はきちんと計画を立てられる一方で、計画性がなく「今を楽しみたい」という気持ちが強い人は収入を全て使ってしまうようなケースも……。

これから続く長い人生においては、結婚、子育て、老後などのライフステージごとにまとまったお金が必要となってくるので、きちんと準備していく必要があるでしょう。まずは、結婚、教育、住まい、老後の4つのライフイベントでどれくらいのお金がかかりそうか見ていきます。

結婚資金はいくら必要?

ブライダル総研の「結婚トレンド調査」(ゼクシィ 結婚トレンド調査2020調べ)によると、2019年4月から1年間に結婚した「ゼクシィ会員」が挙式、披露宴、披露パーティにかけた費用の総額は362.3万円となっています。一方で同調査によるとご祝儀総額は227.8万円となっており、全てを自分で負担しなければいけないわけではありません。

ただし、婚約指輪、結婚指輪、結納、新婚旅行等も考えると、夫婦で負担する結婚費用は200万円を超える可能性があることは念頭においておきましょう。

子どもの教育資金はいくら必要?

子どもが1人生まれたら、幼稚園入園から大学を卒業するまで、少なくとも教育資金は1,000万円弱~2,000万円程度はかかると意識しておくとよいでしょう。

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」の結果によると、子ども1人当たり1年間の学習費総額は下記の通りです。

幼稚園:公立22万3,647円、私立52万7,916円
小学校:公立32万1,281円、私立159万8,691円
中学校:公立48万8,397円、私立140万6,433円
高校(全日制):公立45万7,380円、私立96万9,911円

さらに大学の費用は、国立の場合で年間の授業料53万5,800円、入学料28万2,000円、検定料1万7,000円の合計で83万4,800円となっています。(出典:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令 平成16年3月31日 文部科学省令第16号(平成28年4月1日施行))私立の場合は、文系、理系、医歯系、そのほかの学部全てを平均して、授業料90万4,146円、入学料24万9,985円、施設設備費18万1,902円の合計で133万6,033円となっています(出典:文部科学省 平成30年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について)。

在学期間に応じて授業料、施設設備費等は毎年かかってきます。これらを考慮して教育費用を計算すると、幼稚園から大学(4年制)まで、全て国公立だと約787万円、全て私立だと約2,289万円になります。

住まいの計画は、現役期間と老後期間に分けて考える

住まいの考え方は、大きく分けて現役期間と老後期間に分けられます。

現役のあいだに「賃貸」と「持ち家」どちらを選択するか、悩む人も多いでしょう。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分自身のライフプランに合わせて検討する必要があります。ちなみに持ち家を選択すると、住宅購入金額の平均は新築注文住宅5,085万円、分譲戸建住宅3,851万円、分譲マンション4,457 万円で、大きな買い物となります(国土交通省「令和元年度 住宅市場動向調査報告書」より)。

老後を考えたときに、持ち家がないと年金暮らしにも関わらず家賃を払い続けることになるでしょう。しかし、現役のときに持ち家を手にすることが、老後の住居確保手段の全てではありません。実家を引き継ぐ、住居費を十分に賄える金融資産を投資によって作っておくといった可能性も視野に入れるとよいでしょう。

老後資金はいくら必要?

基本的に老後資金の考え方は、公的年金の受取額から生活費などを引くことで計算できます。

例えば、公的年金の毎月の受取額が20万円で、生活費が25万円必要だとした場合、差額の5万円が毎月不足することになります。この不足分は、老後資金として貯蓄等で準備しておく必要があります。

公的年金の支給開始年齢を65歳として、仮に95歳まで生きると仮定した場合の必要な老後資金は、30年×12ヵ月×5万円=1,800 万円となります。

総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2019年(令和元年)平均結果の概要」では、高齢夫婦世帯の支出は約27万円、高齢単身世帯の支出は約15万円となっています。また、公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると夫婦のゆとりある老後生活には、約36万円が必要というデータもあります。これらを参考に、自身の理想とする家族構成や働き方を考えて老後資金を計画しましょう。

長い人生には病気・ケガ・雇用変化・親族の介護など不測の事態もあり得ます。今のうちから備えましょう。

2. 貯蓄の習慣を身に付けて、資産計画を立てよう

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ライフイベントで必要となる大きなお金は、一朝一夕には準備できません。そこで、計画的に資金を準備するため、貯蓄の基本について知っておきましょう

お金を貯める仕組みを作る

毎月得る給与から生活費を支出し、残った分を貯蓄しようと考える人は、お金が貯まらない傾向にあります。貯蓄は、先取り貯蓄という形で、使う前に貯蓄したい金額をわけておく仕組み作りが大切です。

まずは給与が入金される銀行口座とは別の預金口座を開設しましょう。毎月、給与が振り込まれるタイミングで、貯蓄する金額をその口座に振り分けるようにします。そして残った金額でやりくりをするようにしましょう。

収入―生活費=貯蓄 ×
収入―貯蓄=生活費 ○

このような貯蓄の仕組みを作ることが、資産作りの基礎になりますよ。

収入の目標を立てる

収支を把握するのと同時に、将来的な収入の目標を立ててみるのもいいでしょう。私たちは基本的に目標に向かって行動するものです。目標がなかったり、低い場合にはそれを越えて計画を立てたり実行することは難しいでしょう。そうはいっても、収入や貯蓄の目安がわからないという人も多いですよね。

各業種や職種の平均年収、年代別の平均年収などはインターネットでも手軽に調べることが可能です。一般的な数字を参考に、低すぎず高すぎない目標を立ててみましょう。必要に応じて、資格取得や転職などのキャリアプランを考えてみてはいかがでしょうか。

お金のふやし方を学び、実践する

収支を見直し、せっかく稼いだお金を銀行に預けても、現代は超低金利時代と言われており預金したままではほとんどふえることがありません。

そこで将来のために取り組みたいのが投資です。投資にはリスクを負う覚悟も必要となり、投資=難しいものというイメージを持っている人も多いですが、投資の実践自体は難しいものではありません。

ここからは、具体的にどのように資産形成に取り組むべきかチェックしていきましょう。