たとえば今年1月期のTBSドラマ『不適切にもほどがある!』は、昭和の時代から令和の時代にタイムスリップした男性が主人公のドラマ。昭和を懐かしむ中高年以上の視聴者の心を掴んだことがヒットの一因になった。

 TBSでは、ダウンタウンらが出演していた伝説的バラエティー番組『リンカーン』の後継番組として、2023年10月に『ジョンソン』をスタート。かまいたち、見取り図、ニューヨーク、モグライダーという脂の乗ったアラフォー芸人たちをレギュラーに揃えたものの、視聴率はふるわず1年で終了に追い込まれた。後番組として今年10月に始まるのは、中居正広(52)、東野幸治(57)、ヒロミ(59)がレギュラーを務める『THE MC3』だ。令和の人気芸人から50代以上の3人へとバトンが渡されるのは、まさに往年への回帰に見える。

 地上波テレビが中高年以上の視聴者を再認識する背景として、日本テレビで42年間プロデューサーを務めた尼崎昇氏は「広告(CM)収入」の存在を挙げる。

「CMには番組を買ってくれる『スポンサード(タイム)』と、番組と番組の間や提供がつかないゾーンに入れる『スポット』の2種があり、割合は両者半々ぐらいです。『スポンサード(タイム)』は一度売ってしまえば2クール(半年)安心できます。出稿の多いビールなどは季節モノなので『スポット』が多いです」(尼崎氏、以下「 」内同)

若者向け番組に営業が悲鳴「スポンサーがつかない」

 民放が番組制作をするためには、どうしてもCM収入が必要だ。当然その金額は、多ければ多いほどいい。尼崎氏が、民放ゆえの葛藤を明かす。

「日本テレビを例にとると、年始に(49歳までの)コア視聴率が第一だと大号令をかけたのに、年度内にあっさり方針転換。M1・F1(20~34歳男女)、M2・F2(35~49歳男女) に続く50歳以上65歳未満ぐらいの、まだまだ働いて元気な“アクティブ3層”に向けた視聴率も重視せよということになりました。