◆「失礼すぎます!」階下の女性が激怒したワケ
管理会社がすぐに対応してくれたこともあり、その日のうちに水漏れについては一件落着したのですが、夜になって突然健斗さんの家のチャイムが鳴ります。
「インターフォンで確認したらさっき謝罪に行った階下の女性でした。出てみると、かなり怒った様子で僕が持っていった菓子折りを突き返して来たんです。それで『これ、何のつもりですか? 失礼すぎます!』と言われて驚いてしまって」
一度開けて包み直されていた様子の包装紙を慌てて剥がしてみると、白黒結び切りに「御供(ごくう)」と書かれた“のし”が顔を出したのです。それを見た健斗さんはまさに顔面蒼白。
「その菓子折りは遠方の友人が香典代わりに送ってくれたもので、内のしが付けられていたんです。葬式後のゴタゴタで中身を確認せずに放置していたので忘れていて…。謝罪に向かう時はそんなことを考える余裕もなく必死だったので気づかなかったんです」
パニック状態だったとはいえ、そんなことは階下の女性が知るわけもなく、健斗さんはただただ謝罪を繰り返すことしかできませんでした。