自然災害の被害例3つ

(写真=Zastolskiy Victor/Shutterstock.com)

では、実際の被害例を基にした保険での対応をご紹介します。

例1:土砂災害で建物と家財に被害を受けた

土砂災害で大量の土砂が自宅に流れ込んだために建物と家財に被害を受けたケースです。建物の修理金額が保険金額を上回ったため全損扱いとなり、保険金額全額+αの支払いとなりました。

この例は、水災補償での支払いとなります。

水災補償の条件は、床上浸水もしくは地盤面から45cm超の浸水、または再取得価額の30%以上の損害です。

土砂の流入が45㎝を超えていなくても、再建費用が再取得価額の30%以上であれば支払い対象になります。

さらに、火災保険の支払いは実損額に応じて保険金が支払われるため、全壊などの被害がなくても修理費用が保険金額を上回った場合には保険金額を限度に全額支払われます。

また、火災保険には「費用保険」が付帯されていたり「臨時費用特約」などを追加したりすることで、残存物の片付けや追加費用が上乗せで支払われます。

例2:震度6弱の地震により棟部分が崩れ、建物基礎に亀裂が生じた

地震保険により一部損認定を受けたケースです。

この例は、地震保険での支払いとなります。一部損認定により、加入している地震保険金額の5%が支払われます。

例3:落雷により自宅のパソコンが壊れた

家財に付帯した火災保険で支払われたケースです。

この例は、建物だけではなく家財に対しても火災保険がかけられている場合に補償されます。

以上のように、自然災害による被害はさまざまですし、加入している保険の内容によっても支払い条件は異なります。

中でも、水災や家財への加入の有無は保険料を考えると躊躇しがちです。

せっかく加入するのであれば、いざというときに使える内容にしておくことで大きな安心につながるでしょう。

自然災害が起こってしまったら?

(写真=sakhorn/Shutterstock.com)

実際、自然災害に遭遇したときは、何から手を付けていいのか分からず、慌ててしまう方も多いでしょう。

まずは、ご自身やご家族のけがや精神的な不安に対処することを考えてください。

そして、少し落ち着いたら保険の対象かどうかに関わらず、加入している保険の代理店、もしくは保険会社に連絡しましょう。

それから、部屋を片付ける前に必ず、被害状況の写真を撮っておいてください。

2011年に発生した東日本大震災では、航空写真による判定で全損一括認定地域を認定するなど、迅速に保険金支払いを進めるべく業界が協力したとも言われています。

しかし、大規模な自然災害では保険会社もすぐに対応しきれないことも考えられます。

被害状況がすぐに分かるようにしておくことで、迅速な対応につながります。細かな傷や浸水の跡、倒れた家具の状況など、写真に残しておくことを忘れないでください。

リスクを回避するための保険料の支払いを自分にとって価値のあるものにするには、生活環境におけるリスクを理解して、どんな方法で備えるのかを考えましょう。

そして、少なくとも、加入している保険内容を更新のタイミングで見直しすることが大切です。

保険内容は、頻発する自然災害などを受けて随時改定されています。

代理店の担当者や保険会社から情報収集しながら、自分の環境に合った保険に加入することが最適なリスク回避の方法といえるのではないでしょうか。

文・高村浩子(ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定AFP))/DAILY ANDS

【こちらの記事もおすすめ】
女性を超える関心度!?「オトコの美活」意識調査結果
住宅ローン控除(減税)をフル活用するための基本の「き」
実はハイリスクなライフイベントTOP5。転職、住宅購入、結婚……
2018年マンションの「駆け込み」需要が起きるってホント?
じぶん時間がもっと増える「ちょこっと家事代行」3選