◆不登校の問題は“誰もが当事者”
――「学校に行かせようとすること」をやめると決めてからは、どうやって過ごし方を模索していったのでしょうか?
今:不登校を選択してすぐにラクになったわけではなくて、葛藤する時期はありました。そこからトライアンドエラーで少しずつ元気になっていきました。
家で過ごすにも、時間を決めて何かやろうとすると全然回復に繋がっていかなかったり、「この場所に行かせよう」と決めるともっちんの表情がどんどん暗くなって「ここは違うのかな」と思ってやめたり、試行錯誤していました。私ともっちんの過ごし方が正解ではないので、せっかく学校から離れたのだから「〇〇するべき」という考え方からも解放されてラクになってもらえたらと私は思っています。
――学校に行かなくなってから、もっちん君のお友達との繋がりはどうなったのでしょうか?
今:同じ小学校で近所に住んでいる子が家に遊びに来てくれることもあります。学校のいろいろなことを話してくれて、聞いていると「学校に通っている子もストレスを抱えているんだな」と思うこともあります。
今はオンラインサロンなど、ネット上で気の合う人を見つけることができますし、子どもたちもオンラインゲームで友達ができることもあるようです。SNSなどで探してみると意外と人と繋がることはできると思います。
――この本を通して、不登校について伝えたいことはありますか?
今:不登校というと「子どもに問題がある」と思われがちですけど、社会がそういう見方を作り出してしまっている部分があることを伝えたいです。単に学校にマッチしない子どもがいるというだけのこともあります。「学校に行けない子どもが増えた」とネガティブに捉えるのではなく、「個性的で面白い子ども達が増えている」とポジティブに捉えてくれる人が増えると、また違った見方ができるようになるのかなと思っています。
「うちの子は不登校じゃないから関係ない」と思う方もいるかもしれないのですが、社会を作っている1人として誰もが当事者だと思うので、できるだけ多くの方に読んでもらえたら嬉しいです。
<取材・文/都田ミツコ>
【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。