「温か」パートと「スリリング」パートをつなぐためにヒロトという人物を動き回らせなければならず、その分、ヒロトの行動に不合理が起こることもあるんですが、すごくがんばって脚本を練ったのだろうな、ということはビンビンに伝わってきます。冒頭で心地よくはないと書きましたが、双方向にきっちり尖っているということでもあると思うんです。サスペンスのほうのキーになりそうな人物に向井理を置いていることからしても、こっちはこっちで相当力が入っていることがわかる。
今のところ「温か」のほうが訴求力が高いのでバランスがよくないと感じますが、これは回を重ねて謎が解かれていくにつれて、整っていくような気がします。
それと、ちょっと反省しなきゃなとも思ったんです。前回から「サスペンスはいいから、もっとASDみっくん見せろ」という気分だったわけですが、これはサスペンス部分が不穏すぎて、みっくんに悲劇が降りかかってほしくないという気持ちだったのかもしれないと思ったんですね。こんなにがんばってるASDの青年に悲劇は似合わないだろと。
でも、それって差別につながる考え方なんだよな。ドラマの中で普通に暮らしている市井の人に不幸が降りかかるなら、平等にASDの青年にも不幸が降りかかるべきなんです。「平等にASDの青年にも不幸が降りかかるべき」ってすごい言説だなと自分でも思うけど、その確率も平等であるべきと考えたほうが、健全な気がしました。勉強になるね。
(文=どらまっ子AKIちゃん)