自閉スペクトラム症(以下、ASD)の青年・みっくん(坂東龍汰)とその兄・ヒロト(柳楽優弥)、それに突然舞い込んできた「ライオン」を名乗り、虐待痕のある謎の子ども(佐藤大空)の3人によるヘンテコ共同生活を描きつつ、なんだかハードコアなサスペンスの匂いも漂わせているドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)も第3話。

 公式ホームページでは「温かなヒューマンドラマと、先が読めないスリリングなサスペンス展開が心地よく絡み合い繰り広げられる今作」と紹介されていますが、今のところあんまり心地よくはないです。なんだかすごく「温かなヒューマンドラマ」と「先が読めないスリリングなサスペンス」がケンカしてる感じ。というか、「温かなヒューマンドラマ」たらしめているASDの青年・みっくんが良すぎるんだよなぁ。坂東龍汰が良すぎるんだわ。持っていかれちゃうのです。

 振り返りましょう。

■圧巻のライブペイント

 今回のハイライトは前半部分。みっくんの描いた絵がポスターに採用されている動物園で、展覧会が開かれています。その展覧会では、みっくんと一緒に働いているアーティストがライブペイントを行うことになっていました。

 しかしその直前で、ライブペイントを披露するはずだった人が現場から姿を消してしまいます。トイレに閉じこもっているのを発見したみっくんは、その人から絵筆を託され、自らステージに上がります。なぜなら、ライブペイントは14時からの予定であり、その14時が来たからにはライブペイントが行われなければならないからです。すべてスケジュール通りに事が進まないとパニックを起こしてしまうみっくんにとって、それはごく自然な行為なのでした。

 しかし、いざ描き始めようとしたタイミングで司会のマイクがハウリングを起こし、耳をつんざかれたみっくんは案の定パニックに。ヒロトはみっくんに恥をかかすまい、周囲に迷惑をかけさせまいとみっくんを壇上から降ろそうとしますが、頭を抱えてしゃがみ込むみっくんはその場を動こうとしません。