冬月のアフリカでの死は結果的に誤報だったわけですが、あの誤報がなければミワさんはあっさりヒロキと離婚して、冬月と、その子どもと3人で幸せな家庭を築いていたに違いありません。何しろ冬月は会社をバイアウトしたばっかりでお金持ちでしょうから、母親の医療費も出してくれそうだし。

 それでもシングルマザーとして生きていくことを決意したミワさんが離婚の話を切り出す前に電話が鳴らなかったら、夫婦はここで終わっていたかもしれない。

 なんにも知らないヒロキがヒロキなりに悩んで、それなりに誠実な回答を用意するに至る裏で、ミワさんは何度もヒロキを裏切ろうとしては、打算と妥協に引き戻されて「金」という命綱にすがることに決めた。

 どこかでタイミングがずれていたら、「托卵」は発生しなかった。そういう「運命のいたずら」的な構図が実に手際よくまとめられていて、大変見ごたえのある回だったと思います。

 あと、めっちゃテンポよくてお話がサクサク進むので見ていて気持ちいいですね。個人的にはヒロキみたいな人も冬月みたいな人もあんまし好きじゃないタイプなので、ニヤニヤしながら追いかけたいと思います。

(文=どらまっ子AKIちゃん)