――時間無制限バーリトゥードを始めとする今大会のルール制定にも携わったそうですが、どのようにルールを決めていったのでしょう?
中田 不可逆的なこと以外はOKにしよう、というのが基本的な方針でした。眼球が破裂したら、二度と戻らないので目潰しは禁止。キンタ……あ、失礼、睾丸は蹴られたら痛いですけど、ファールカップをしていれば破裂することはないので金的はOK。「何でもあり」と謳っている以上、金的もありにしないと面白くないですからね。
さらには、頭突きで鼻を折られても治りますし、指が折れてもいつかは元に戻るので指関節もOKでいいんじゃないか、といった感じで渡辺さんらと相談しながら決めていきました。
――大ケガをする選手が出る可能性も?
中田 僕も格闘技をやるからわかるんですけど、「あり」とわかるとけっこう防御できちゃうんですよ。もちろんゲガ人が出た場合の医療体制は万全です。
そうこうしているうちに大会が始まり、プログラムが順次進んでいく。
新柔術ルールでは、これまでの柔術では見られなかったヒールフック、外掛けなどが解禁。これらを積極的に実践しようとする選手の動きが多々見られた。
道着着用MMAでは、道着がないと作りにくいスパイダーガード(相手の肘のくぼみに自分の足裏を当てるガード)などの技が続々と繰り出された。「ああいう寝技が普通のMMAの中で展開されることはまずないので、見ていてとても面白かった」とは関係者の声。
そしていよいよ本日のメインイベント、時間無制限バーリトゥードである。元ラウェイ王者の渡慶次幸平と、元UFCファイターのウィル・チョープが、グローブをつけず、「金的、頭突き、指関節あり」で激突するのだ。両選手が入場し向き合った瞬間、会場にいたすべての男性、そして生配信を見ていたすべての男性が、タマを縮み上がらせていたに違いない。
長い格闘家生活でダメージが蓄積されているという渡慶次。「打撃ありルールの試合はこれが最後。死ぬ気で戦って、まだ生きていたら次のことは後から考える」という決意でケージに上がった。