ここまでの3話のトリックを逆から辿ってみると、第1話は「モザイクスプレー」→「シャドーマンの正体」、「メタンガス中毒」→「キツネツキの正体」、「ファフロツキーズ」→「タイムホールの正体」ということになります。
モザイクスプレーは完全に架空のふしぎ道具、メタンガス中毒は一般に理解しうる事故と、フィクションとリアルの両端に完全に振り切っているものだったわけですが、今回のファフロツキーズは「現実にそういうことがあるという情報は知ってるけど、ホンマかいな、信じられへんわ」というくらいの位置づけなんですよね。
その位置づけが絶妙に作用して、今回のエピソードにはちょっとした浮遊感が生まれている。人間ドラマのパートをガチガチに固めておいて、「オカルトをリアルで解き明かす」という手法を標榜しているミステリーで、この浮遊感、具体的にいえば「わからないって、おもしろいな」という感覚を与えてるのは、けっこうすごいバランス感覚だと思うわけです。
「わからないって、おもしろい」という価値観って、この社会におけるオカルトの存在意義そのものですからね。
縦軸になっている「ヒルコ」の存在も徐々に明らかになっていますし、小日向文世は明らかに怪しい動きをしてますし、今後への期待はますます高まるばかりです。がんばってほしい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)