子どもたちが遊んでいる超高層マンションの前の広場に、ある日突然、人の足とセスナの残骸が降ってきた。身分証も一緒に落ちてきて、調べてみると4年前に上空で消息を絶ったある研究者のものらしい。

 この状況から、興玉さんはまず「タイムホール」の存在を見立てます。時空の歪みを利用して時間や距離を超える抜け道のようなもので、「ワームホール」とも呼ばれるアレですね。

 落ちてきた“足の人”はこの「タイムホール」を研究していた研究者で、部下の女性と一緒に「タイムホール」の解明に成功したと発表しましたが、その後、部下の女性のデータ捏造が発覚。この女性が「タイムホールは、ありまぁ~す」と言い残して(言い残してない)姿を消し、その1カ月後に上司だった“足の人”が消息を絶ったとのことでした。

 この「タイムホール」→「ファフロツキーズ」という現象の解明と並行して、研究者たちの痴情のもつれだったり純愛だったり、研究者たちが天才だったりMADだったりと、ドラマ要素てんこ盛りで見ごたえのあるミステリーになっていました。

 ところで「ファフロツキーズ」という現象は、どことも知れない場所に急にわけのわからないものが降ってくるところにロマンがあったりするわけですが、今回は事件関係者の住むマンションの真ん前に落ちてきているわけです。うがった見方をすれば「出来すぎだろ」って話なんですが、興玉さんの言う通り「可能性はゼロじゃない」んですよね。可能性がゼロじゃなくて、ほかに論理的に説明できる方法がなければ、結論はそうするしかない。本当にそうなのか、と疑義を呈したところで「じゃあタイムホールの存在を信じるんですか?」と問われれば、うぐぐとなるしかない。

 このへんが、サジ加減がちょうどいいと感じた部分です。

 そう感じさせておいて、最後にタイムホール本当にあるかも? というステキエピソードを差し込んできたのが、さらにオシャレでした。今回はオシャレだったな。

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