ここで怪気炎を上げているのが、立民代表の野田氏だ。
「自民の過半数割れの可能性がかなり高くなってきました!」
朝日の報道が出た21日、遊説先の札幌市内で街頭演説に立った野田氏は、かつてない張りのある声で聴衆に訴えた。
それも無理はない。野田氏は、9月に党代表に選出されたころから「政権交代こそ最大の政治改革」と言い続け、再び首相の座に就くことを目指す公言してきたが、それが現実味を帯びてきたわけだ。大手メディアの野党担当記者が解説する。
「野田さんは自民党に代わる中道・保守政権の樹立を唱えており、国民民主党や日本維新の会などに連立政権構想を持ち掛けています。有権者の動向次第では、政権交代すら視野に入り、2011年9月から12年末にかけて1年半足らずしか続かなかった野田政権のリベンジ戦に挑む覚悟です」
だが、野田氏の首相再登板には、立民党内にすら懸念する向きがある。前出の永田町ウオッチャーの話。
「野田さんは首相時代、消費増税を伴う『社会保障と税の一体改革』や国会議員の定数削減を自民・公明に合意させました。その交換条件として、2012年11月の党首討論の末にいきなり衆院解散を強行。民主党から離党が相次ぎ、公示前に230あった議席を結果的に57議席へと激減させてしまいました。その後長きにわたり、自公に政権交代を許した元凶、と言われ続けました」
しかも野田氏は、旧民主党政権当時、検察捜査のターゲットになった過去があるという。さる検察ウオッチャーが言う。
「法人税1億3000万円余を脱税した疑いで東京地検特捜部に逮捕・起訴された『ソフトウエア興業』の社長にまつわる政界スキャンダルです。社長は、国会議員に幅広く献金したり接待を繰り返したりして、政官界に広がる人脈を誇っていました。その中に野田氏が含まれていたんです」
当時の新聞報道によれば、ソフトウエア興業は2001~09年、野田氏をはじめ、官房長官を務めた仙谷由人氏ら民主党政権の中枢が代表を務める政治団体や政党支部などに献金したり、団体側からパーティー券を購入したりしていることが政治資金収支報告書の記載内容から明らかになっていた。