ススキ茶というのがあるんだそうですね。ススキの穂や茎を鍋で炒ってお湯を注ぐと、まるで玄米茶のような香ばしいお茶になるんだそうです。

 今回、このススキ茶が登場したドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)。第3話にあたる原作コミックにはススキがいい感じの場面で登場しますが、ススキ茶は登場しません。

 ドラマの前半にススキ茶を登場させることで、もともといい感じの場面だった後半のススキが登場するシーンが、よりいい感じになっています。よい原作改変というのは、こういうことを指すんだと思うんですよ。原作にあるエピソードの魅力を、より増幅させるために手を加えている。ススキ茶の話だけじゃなく、『嘘解きレトリック』ではおおむね、そういう作業が成功しているように思えます。

 振り返りましょう。

■めっちゃいい話だった……

 今回は、探偵助手となったウソ聞き分け娘・鹿乃子(松本穂香)と探偵・左右馬(鈴鹿央士)がバディとして事件を解決するわけではなく、鹿乃子の「ウソを聞き分ける能力」についてのお話。まずは、鹿乃子の能力についての厳密な検証から始まりました。

 鹿乃子の能力は紙に書かれた文字のウソには反応しないこと、視覚とは関係なく声のみに反応することがわかります。加えて、「明日は晴れる」「明日は雨が降る」と相反する内容をしゃべったとしても、未来のことはわからないので、どちらもウソとは判定されない。つまり、博打には使えない。しかし、しゃべる人間が「明日は晴れる」と思っているにもかかわらず「明日は雨が降る」と口にすると、それを鹿乃子センサーは「ウソ」と判定する。こういう超能力の発動条件って、曖昧にしておいたほうが後々都合がよさそうなものですが、わりと厳密に定めていくところに、このドラマのストーリーテラーとしての余裕を感じます。

 そうして能力についてのお話が終わると、今回はひとつの小さな事件を通して「能力者」のお話が語られました。