株式分割の対象となる
投資家として非常に魅力がある企業なのに、株価が高すぎて購入をあきらめたことはないだろうか。企業にとっても市場にとっても、株価が高くなりすぎて流通しにくくなるのは望ましくない。そこで、株式市場で流通しやすいように、株価を投資しやすい水準に是正するため、既に発行されている株式を分割することがある。
この株式分割を受けるためには、株主として権利確定日に株式を保有しておかなければならない。
理論上では、株式分割をすると増えた分に応じて株価は下がり、資産は増えないとされる。1株が2株に分割されれば、1株当たりの価格も半分になり2株分保有しても以前と資産は変わらない。
実際には企業が配当を据え置いたり、市場での価格が理論値より上昇したりすることがある。一概には言えないが、流通量が増えるべき企業の株式が増えるべくして増えたのだから、その企業の株式は好業績などの理由で人気があることが多い。業績が良ければ企業も配当を高めにするし、市場に出回った株式の価格も購入希望者が多くて値上がりすることがある。
すると、株主分割を受けた株主は、結果として増配を受けたり(持っている株数が増えたため)、売買差益を得たりしやすくなる。一般的には、株式分割は株主にとっては喜ばしいケースが多い。
権利落ち日とは
株主としての権利を受けるには権利確定日を含め4営業日前までに購入しておかなければならない。この日を権利付最終日という。
権利付最終日の翌日、つまり権利確定日を含め3営業日前(含めないなら2営業日前)に購入しても権利は手に入らない。この日のことを権利落ち日という。
イオンの例では、株主優待は8月31日の「株主権利確定日」に株主名簿に掲載されていなければならず、2018年8月28日(火)が権利付最終日となる。8月29日(水)が権利落ち日で、この日に株式を購入しても権利は与えられない。
一方、権利付最終日にさえ株式を購入しておけば、その翌日の権利落ち日に売却しても株主としての権利は発生する。
権利確定日と株価
権利確定日と株価の関係をごく大ざっぱに言えば、配当や株主優待が充実している企業の株は権利確定日に向けて値上がりすることが多い。多くの投資家がその株式を欲しいと思うからだ。
そして権利落ち日となると、理論的には株価は配当に相当する分価値が下がるとされる(企業の財産が外に出ていくため)。また、配当や優待さえ手に入ればそれでいいという投資家が株式を売りに出すことで権利落ち日以降株価は下がるという理由もあるだろう。
ただし権利確定日に向けて株価が上昇することを見込んで、その時期に株式を売却する投資家もいる。配当や優待目的ではなく、株式の売買差益だけを目的とする投資スタイルだ。これがあまりに多いと株価の上昇は抑えられる。一方、株価を決める要因は多岐にわたり、権利落ち日以降に上昇することもあるし、理論値以上に下落することもある。
一般に、株価は金利や為替、景気、海外市場などに影響される。権利確定日に向けての値上がり、権利落ち後の値下がりはあくまで株価変動の一因である。
企業は株価の乱高下を望まない。近年は個人の安定株主を増やすために、株主優待制度の中でも、長期保有者をさらに優遇する動きも広がりつつある。この記事で取り上げた企業にもあったように、長期保有者には優待券をより多く贈るなどする企業も珍しくない。企業によっては、個人投資家と安定したお付き合いを望んでいるところも多いのだ。
株主になれば配当金や株主優待の品(サービス)を受け取ることができる。ただし、購入日に権利が得られるのではない。その企業の決めた権利確定日に株主名簿に記載される必要がある。売買が成立した日の4営業日目が受渡日なので、権利確定日を含め4営業日前には購入する必要がある。
誰もが欲しくなるような配当や株主優待がある企業では権利確定日に向けて値上がりする傾向がある。もっとも投資家や企業の思惑、マクロ経済の状況で株価の値動きは変わるものだ。欲しいと思った企業の過去のチャートや長期保有株主への優遇の有無、その影響なども含めて自分の購入日を決定していきたい。
文・ZUU online編集部/ZUU online
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