橘:美容整形で骨を削る手術を行う際はノコギリやトンカチのような器具を、鼻を高くする手術では軟骨を移植します。そこまでしないと鼻を高くすることはできないんですよ。クリップなど外からの圧力で鼻の軟骨を動かすとか整えるなんてことは考えられません。
筆者:効果がない……。じゃあ美顔器でイオン導入くらいにしておきます……乾燥の対策はした方がいいですよね?
橘:正直、美容に携わる医師で、自宅で美顔器を使っている人は聞いたことがありませんね。美顔器も肌を摩擦してしまいます。美容液を浸透させるといっても、家庭用の美顔器はクリニックの機器とは出力が全く違うので、ほんの表面にしか影響を与えることができないんです。
それであれば、通常のスキンケアで十分ですね。本来医療機器でしかできないはずのものを、自宅やエステで行うのはトラブルが多いので控えた方がいいですね。
◆目に見える効果を得るには医療に頼るしかない
筆者:美顔器高かったのに……。化粧品はどうですか? 新しい成分の開発や、技術の向上でどんどん高機能になっているイメージ。最近「シワを改善するクリーム」っていう広告を見てとても気になってます。
橘:顕微鏡で見るようなレベルで、ほんの少しのシワがなくなったとしても、データ上「改善した」といえてしまいます。ですが目に見えるほどの改善を望むのであれば、スキンケアのみでは難しいのが実情です。
例えば乾燥や加齢で生じる目の周りのちりめんジワなど、静的なシワはクリームなどのスキンケアで多少改善したように感じられるかもしれません。
ですが、筋肉が動いて皮膚が折りたたまれることでできる深い動的なシワは、ボトックスで予防をするしか防ぐ方法はありません。広告を信じて動的なシワにクリームを塗っても、効果は実感できないでしょう。
シワを無くす、鼻を高くする、たるみを引き上げるなど、効果を出すことは医療でしかできないと思っていてください。