銀行側のメリット

 銀行側がAPIを使う一般的なメリットは、開発コストの削減や、提携先との関係強化などが挙げられるだろう。しかし、今までは考えられなかったAPIの外部公開に踏み込んだ理由は他にある。

それは、ビジネスチャンス拡大がもたらす銀行の収益拡大である。これまでは存在しなかった銀行と他社サービスの連携が加速すれば、新しい金融サービスが必ず生まれてくるはずだ。APIを公開することで、金融業以外の小売りやサービスなどの他業種とも連携することができれば、新たな収益源を確保できることになる。

さらに、APIを公開することで新サービス立ち上げまでのスピード感が圧倒的に早くなったことも大きなメリットの一つだろう。これまでは、他社サービスと連携するにしても自行システムに大部分を組み込まなければならないため莫大な費用と時間を要していたが、APIを公開することでシステム連携は格段に容易になり、新サービス発足までのハードルはかなり低くなったと言える。

このように新サービスによってもたらされる収益源を確保することは、銀行が国内市場縮小の局面を打開するために必要な施策と言えるだろう。

利用者側のメリット

現行のサービスで言うと、クラウド会計や個人資産管理などのFintechサービスと金融機関との連携において、強固なセキュリティの下でサービスを受けられるメリットがある。これまでは、Fintech側にIDとパスワードをいったん預けて金融機関にアクセスする必要があったためセキュリティ面で課題があった。しかし、API連携をすることでセキュアなデータ連携をすることができるようになったため、より安全な取引が可能となっている。

海外のサービスではモバイルバンキングを入り口として自動車の購入からローン、下取り、自動車保険の加入までワンストップでできるものまである。複数のサイトでやり取りする煩わしさがなくなり、利便性の面で大きなメリットがある。

銀行が外部APIを公開することで、今後も銀行と他業種間での連携サービスが増えることは間違いないだろう。今後どのような新サービスが誕生するのか、期待は膨らむばかりだ。

文・FinTech online編集部/ZUU online

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