祠を壊してはいけないし、井戸も簡単に埋めてはいけない。そういうことをすると、祟りに遭う。
ここまでが、今回のオカルト要素でした。前回、今回を見るにつけ、『全領域異常解決室』というドラマではこのオカルトの種明かしをドラマの主軸に置いていくようです。
■犯罪がちゃんと情念に導かれている
ミステリーの楽しさには2段階あって、まず謎解きの辻褄が合う納得感と、それに伴う爽快感がほしいところです。「そういうことだったのか!」という驚きと感心を得るために、私たちはミステリーを見ている。その上に、事件の魅力というものが乗っかってくると、満足感が上積みされることになります。
犯人や関係者の情念、人間のどうしようもなさ、優しさや思いやり、そういう情念に導かれた犯罪だったかどうかでミステリー作品の評価は大きく左右されることになります。
この『全領域異常解決室』では、この「事件への情念の乗りっぷり」については非常に強く意識されているように感じます。今回はキモ杉とイケメン先生を対比させた上で「こういう人が、裏では実はこう」を2つ用意して、マジメで健気な女子高生を軸に反転させているわけですが、キモ杉の真意が明かされた場面にはなかなかのカタルシスがありました。
一方の謎解きの辻褄に関してですが、今回は「集団失神がなぜ起こったか」を、井戸を埋めたときに入れておいた竹筒の「息抜き」を、祠を壊したときに抜いてしまい、それによってメタンガスが発生したということにしていました。
全然詳しくないので当てずっぽうで印象だけ言いますけど、逆じゃね? と思うんだよな。息抜きを抜いたから地下でガスが充満して爆発したとかならわかるんだけど、埋めたからガスが出て人がたくさん失神するって、そんなことあるのかしら。まあこれはホントに知識がないので的外れだったらすみませんけど、前回の「モザイクスプレー」の件があるので、ちょっとまだこのドラマの科学的解決を信用できないところではあります。