展覧会では、毎年異なるテーマで京菓子のデザインを公募。選りすぐりの作品たちが、茶室にルーツがあるとされる数寄屋建築の座敷に展示される。

2022年展覧会「枕草子」茶席菓子実作部門 《大賞》うつろい 作:園山 武志

直近だと、2022年には「枕草子」、

2021年展覧会「徒然草」茶席菓子実作部門 《大賞》「徒然」 作:塩貝 祥代

2021年には「徒然草」をテーマにした京菓子の数々が会場を彩った。

そして、2024年のテーマは「源氏物語」。

平安時代中期に紫式部が書いたとされ、現在に至るまで読み継がれている古典のベストセラーだ。とりわけ今年は、紫式部を主人公とする大河ドラマの影響もあり、「源氏物語」が脚光を浴びている。

今回、6月20日から8月31日にかけて京菓子のデザインを募ったところ、約350点の応募があったという。その後の審査で、「京菓子デザイン部門」と「茶席菓子実作部門」の受賞作品や入選作品などを決定。

会場では、展示作品と併せて実際に京菓子と抹茶も味わえる。

2018年展覧会「手のひらの自然―源氏物語」茶席菓子実作部門 《大賞》瑞雲 作:上坂 優太朗

ちなみに、2018年の展覧会でも「源氏物語」がテーマとされた。

このとき、「茶席菓子実作部門」で大賞を受賞したのが、上坂優太朗氏による「瑞雲」。物語の世界観と平安の貴族文化をうまく調和させた意匠が上品で美しく、食べるのがもったいないほど。

2024年は京菓子でどんな「源氏物語」が表現されるのか、ぜひ自分の目と舌で確かめてみて。

イベント概要

「京菓子展2024‐源氏物語」~ものがたりを食べる~は2024年11月1日(金)から15日(金)まで、2つの会場にて開催される。それぞれ入場時間や販売チケットの内容が異なるので、注意してほしい。


本会場は、有斐斎弘道館(ゆうひさいこうどうかん)。

趣きある数寄屋建築と庭園は、江戸時代を代表する儒者の皆川淇園(みながわきえん)が創立した学問所・弘道館の跡地に建てられている。一時は取り壊されそうになるも有志によって保存され、2019年には再興10周年を迎えた。今では新たな学問・文化サロンとして活用されており、京菓子が紡ぐ「源氏物語」の世界にふさわしい舞台だ。