京都市在住のライター・紫原が今回お届けする地域イベントの情報は、「京菓子展2024‐源氏物語」~ものがたりを食べる~。2024年11月1日(金)~15日(金)の2週間、有斐斎弘道館と特別会場の旧三井家下鴨別邸で開催される。
未来へ引き継ぎたい“京菓子”の文化
かつて都の置かれた京都では、衣食住にまつわる独特の文化が育ち、暮らしの中で受け継がれてきた。ただ、目に見えない文化には定義や概念がはっきりしていないものも多く、地域一体となって守り伝えていく努力が大切だろう。
そこで京都市は、2013年4月に“京都をつなぐ無形文化遺産”を創設。改めて無形文化遺産の価値を認識し、内外に魅力を伝えていくことを目指している。これまでに「京の食文化」、「京・花街の文化」、「京の地蔵盆」、「京のきもの文化」、「京の菓子文化」、「京の年中行事」の6件が選定された。
このなかで2017年に選ばれたのが「京の菓子文化」だ。
京菓子は、朝廷や茶道の文化と密接に関わりながら発展してきた。もともと上流階級だけが味わうものだったが、時代とともに町衆にも広まっていったという。
日本の美しい四季を色や形で繊細に表現した京菓子は、まさに食べる芸術作品。さらに旬の素材を使い、情景にちなんだ名前を付けるなど、五感で季節を楽しめる創意工夫にも注目してみてほしい。
2024年の「京菓子展」は源氏物語がテーマ
京菓子の意匠は季節や場所、食べる相手に合わせて生み出されていて、一つひとつに作り手の想いが込められている。その「ものがたり」を読み解くことで、京菓子をおいしく味わうだけでなく、歴史や文化への興味も刺激されるのではないだろうか。
そんな京菓子の魅力に触れられる絶好の機会が、公益財団法人有斐斎弘道館と旧三井家下鴨別邸運営コンソーシアムが主催する「京菓子展」だ。京都を代表する芸術文化の京菓子を通して、古典文学について広く知ってもらうことを趣旨としている。