Z世代の俳優は総じて演技がうまいと言われていますが、これは普段からスマホで自分の表情や演技をチェックしているからでしょう。また、本格的アクションは初めてだった夏目役の草川拓弥は、音楽ユニット「超特急」でのダンサー経験があるので、複雑な殺陣の手順を覚えるのも平気なのだと思われます。ただの若手イケメン俳優かと思って舐めていたら、ちさまひと互角にやり合う超絶アクションに驚かされました。
完全な老害ジジイと化していた宮原に仕えた夏目の社会人生活は悲惨なものでしたが、最期は自分がスカウトしたちさまひを相手に自身の能力をフル発揮できたことに満足そうでした。自分のことを分かってくれる仲間に、トラブルだらけだった合宿の終わりにようやく出会うことができたのです。
ちさまひは「夏目さんはがんばったじゃない」「私たち、あいつの代わりに謝るよ」と優しい言葉を、死を覚悟した夏目に贈ります。まさに地獄の合宿で、ちさまひが「生殺与奪の権」を持つ戦場の乙女=ワルキューレであることを感じさせた前半シリーズのエンディングでした。
クズ男を演じると輝き出す柄本時生の参戦
今夜(10月16日)放送の第7話から、新章のスタートです。ちさまひのシスターフッドムービーとして定着していた『ベビわる』ですが、殺し屋協会内のジョブ・ローテーションによって波乱の後半シリーズとなりそうです。ちさまひはコンビを一時的に解消して、どちらかがデスクワークを経験するのか、新しいパートナーと組むことになるのか。『ベビわる ナイスデイズ』で好演していた入鹿みなみ役の前田敦子は、第6話以降もドラマに絡むことになるのか。
後半シリーズのメインキャラクターを演じる柄本時生のクズ男っぷりにも期待できそうです。アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされたヴィム・ベンダース監督、役所広司主演映画『パーフェクト・デイズ』(2023年)でも、柄本時生は惚れ惚れするような「ミザリー・デイズ」を演じていました。『ベビわる エブリデイ!』では、さらなるクズ男っぷりで、ちさまひをのけぞらせることでしょう。お兄ちゃんの柄本佑がエリート役を演じることが多いのに対し、柄本時生はクズ中のクズを演じるとがぜん輝き始める稀有な俳優になりつつあります。