「若い間にしかできへん経験て言うのが確かにあって、世間は広い。その広い世の中を見てくるのは、将来必ず役に立つ。がんばれ」

 3年前に同じような相談があったときは引き留めたが、今度は新たなる門出にエールを送ったのだ。

 撮影が終わり、日頃の忙しさにかまけてフクと話せていない。フクを『ムショぼけ』のスピンオフの監督に推薦し、実現させたのは私である。フクと一緒にバンコクで食中毒に遭い、のたうち回ったのも私だ。

 どんな仕事をしていても、フクならばがんばることを私たちは知っている。

 スクリーンやテレビに映るものだけがすべてではない。その裏側にもいろいろな物語があって、人間模様がある。だからこそ『インフォーマ』という作品は魅力的な作品になっていくのだろう。

 最後まで自画自賛ですまないが、事実なので許してやってほしい。

 追記として、フクは現在、沖縄でパチンコ断ちをしていることをそっと添えておこう。

(文=沖田臥竜/作家・小説家・クリエイター)