賢子(梨里花)の年齢を聞き、もうすぐ裳着か、という。賢子の裳着には道長から何か贈り物が欲しいというまひろ。父からの贈り物を、というところだろう。道長は一瞬の間のあと、了承した。何度かチャンスはあったように思うのだが、結局のところ、賢子が自分の娘だと気がついているのだろうか。賢子も藤壺で働けばいい、と言うが、それはまひろの娘だからなのか、自分とまひろの娘だからなのか。いやどっちにしろまひろの娘であることが道長にとっては重要なのかもしれない。
◆伊周の呪詛が己を呪う
敦成親王を東宮に、という動きと共に、道長は彰子から敦康親王を引き離すことを画策し始める。定子の子どもだから、というよりは、彰子に懐きすぎている敦康親王に警戒しているのだろう。道長の頭には「源氏物語」が過る。こういうことには鈍いはずの道長だが、まひろによってその点が改善されているのか……。
藤壺でぼやが起きたのをきっかけに、敦康親王は一時的に伊周の邸へと移った。道長が自分を邪魔にしている、と不満を漏らす敦康親王。
伊周はその後、道長のもとを訪れ、あまり敦康を帝から引き離さないでほしい、という。そして、次の東宮は敦康親王だ、とも。
呪詛の件で参内を禁じられていた伊周だが、彰子の懐妊をきっかけに一条天皇はこれを解いていた。しかし参内しなかった伊周に、道長が理由を尋ねる。すると、伊周は「お前のせいだ!」と叫ぶ。呪詛を繰り返す伊周の表情が凄まじい。完全に焦点が合っていないように見える目の動きは一体どうしたものか。
周りの者たちに抱えられるようにして部屋から出ていく伊周の姿を見つめる道長。そんな道長をまひろが見ていた。目が合うと、わずかに道長の視線が泳ぐ。その思いは見られたくなかった、なのか、できることなら、駆け寄ってすがりたい、癒しを得たい、という気持ちだったのだろうか。
<文/ふくだりょうこ>
【ふくだりょうこ】