◆道長たちに向けられる敵意
一方、道長(柄本佑)にはまた頭を悩ませるような出来事が。
敦成親王の寝所から、呪符が見つかったのだ。行成(渡辺大知)に調べさせた結果、円能という僧侶が関わっていることが分かる。そして呪詛の首謀者は伊周(三浦翔平)の叔母、伊周の妻の兄・源方理で、呪詛の対象者は彰子と敦成親王、道長。目的は伊周と敵対する者の排除。
本来なら、死罪が相当だが、厳しい罰を与えたせいで、彰子と敦成親王への恨みが増すことを道長は懸念していた。そのため、罪は軽いものとなったが、道長と彰子、敦成親王が恨みを買っていることには変わりはない。敦成親王、赤ちゃんやぞ……赤ちゃんに呪詛するって……などと思ってしまうが、誰が次の帝になるか、という点において、そんなことは関係ないのだろう。
そして、道長は敦成親王を次の東宮にし、ゆくゆくは帝に、という思いをはっきりと息子の頼通に伝える。これは家のためではなく民のため、と言うが、たいていの人はそれは建前で、本音は家のためではないのか、と思うはずだ。道長自身もどのように自覚しているのかが分からない。でも、こういう言葉を口にする時点で、道長もやはり変わってしまったのだなあ、と感じずにはいられない。
◆道長の鈍感さ
一方で、道長は頼通(渡邊圭祐)の婿入りについても考え始めており、倫子(黒木華)に相談をする。まずは本人の思いを聞かないと、という倫子に対し、道長は「妻は己の気持ちで決めるものではない」という。男の行く末は妻で決まる、やる気のない末っ子だった自分が今あるのは倫子のおかげだと。ものすごくさらっと「別にそなたのことは好きではなかった」と告白したけども、それを微笑んで流す倫子よ……。倫子はきっと、道長の心にずっと棲んでいるのがまひろだと気がついているだろうし、だからこそ何も言わないのか。
鈍い道長はそんな倫子の本当の心を知らない。だから、相変わらず悪気なくまひろのもとを訪れる。