そんな「程よい距離感」をぶち壊したのは、そのときお隣さんになったある家族の男性でした。
◆子連れのファミリーと思って油断していたら…
「その男性は奥さんとふたりのお子さんと来ていて、大きなテントに寝袋やバーベキューのコンロなど、家族連れでのキャンプに慣れているなと感じました。そういう人ならマナーとかもわかっているだろう、と勝手に思い込んだのが間違いでしたね……」
友人と二人でテントを張っている伊田さんに、その男性は気さくに話しかけてきたそうです。
挨拶をするのはマナーだし、「何か迷惑をかけることがあったらすぐに言ってください」と丁寧に伝えたという伊田さん。ところが、男性はふたりをじろじろと見ながら
「どこから来たの? 県内?」
「女の子だけでやってるの?」
「いくつ? 社会人だよね?」
などとタメ口で不躾(ぶしつけ)に質問を飛ばしてきて、「失礼な人だな」と感じた伊田さんと友人はすぐに会話をやめ、隣の視界を遮るようにテントや椅子の位置を調整したそうです。
◆奥さんから見えないところでだけ話しかけてくる
「何がイヤかって、その人、奥さんがいない時を見計らって話しかけてくるんですよ。食材を出していた友達に『何を作るの?』って馴れ馴れしく声をかけたり、こっちが張ったテントのブランドについて一方的に話し始めたり、そんなときって絶対に奥さんがいないんですよね」
家族と一緒のときはこちらに視線もやらない男性の様子に、伊田さんたちは「セクハラ好きのヤバい人」と感じたそう。
ストレスだけど今さら区画の変更などできるはずがなく、「とにかく相手にしないのが一番だし、向こうも家族が一緒でほかに人もいるし、話しかける以上のことはしないだろうと思っていました」と、周囲の目がある状態を信頼していました。
◆「ライター貸して」頼まれごとに応えたら…
夕方になり、そろそろご飯の準備をしようかと伊田さんたちが話していると、またその男性がやってきます。