東京は車輌が長いので目視ができない箇所があるというのがアナウンスをする理由です。JR東日本の深澤祐二社長は、『辞める方向で検討する』と記者会見で言っていましたが、設備の問題もあり、少し時間が必要かもしれません」
◆〈障害者+女性〉は複合的に差別を受けている
筆者の知り合いの車いすユーザの女性も、夜遅い電車に乗っていると、車いすのタイヤを蹴られて「なんでこんな時間に乗っているんだ」などと文句を言われることがあるそうです。
佐藤「そうした嫌がらせも、男性と女性で違います。男性もいろいろ差別を受けることはありますが、そういった文句は言われないです。被害に遭っている方たちは、障害者+女性ということで、複合的に差別を受けているのだと思います」
◆「どこで降りるの?」と聞かれると恐怖を感じる
筆者が経営する合同会社ブラインドライターズは、視覚に障害のある方をメインに採用している会社ですが、そのスタッフにも意見を聞いてみました。
スタッフ1「最近、一部の鉄道会社の駅で、『視覚に障害のあるお客様の乗車や降車の際のサポートを行っています』のような案内が頻繁に流れるようになりました。私たちの存在に目を向けてくださるのは嬉しいのですが、乗降サポートが必要なのは視覚障害者だけではありませんし、かなり頻繁に流れるので恥ずかしいです」
スタッフ2「たぶん善意だとは思いつつも、近くの方から『どこで降りるんですか?』と聞かれると恐怖を感じるので、できればオープンな放送は避けてほしいのが本音です」
◆「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけるのがベスト
佐藤「乗車の際にアナウンスをやめてほしいと言うと『なら乗車させられない』と言われ、車内で被害に遭っても、誰も助けてくれない。外出するのが怖いという声が上がっています」
DPI日本会議は、こうした事例を国交省に提出し、改善を求めています。各社問題意識を持ち、対応を検討してくれているそうです。それでも、問題の根本は乗車アナウンスではなく、それを情報源として痴漢行為や迷惑行為を行う人がいること。もっと悲しいのは、誰も助けてくれないことでしょう。