車いすユーザーや、視覚に障害がある人が電車を利用する際に流れる「お客様ご案内中です。乗車完了」というアナウンス。実はこのアナウンスのせいで、痴漢やストーカー行為を受けている女性障害者たちがいます。

駅アナウンスによる女性障害者へのストーカー被害
写真はイメージです。
 NPO法人DPI日本会議が女性障害者への聞き取りをしたところ、「降車駅で待ち伏せされて家までつけられた」「下着の色を聞かれたり、卑猥なことを繰り返された」等の、卑劣かつ悪質な被害の実態が明らかに。NPO法人DPI日本会議事務局長の佐藤聡さんにお話を聞きました。(初公開日は2021年10月26日 記事は取材時の状況)

◆2、3年前からストーカー被害に悩んでいた車いす女性

2、3年前からストーカー被害に悩んでいた車いす女性
NPO法人DPI日本会議事務局長の佐藤聡さん
佐藤聡さん(以下、佐藤)「2、3年前から、車いすの女性メンバーが『ストーカーに追いかけられている、だから駅のアナウンスをやめてほしい』と話していました。ところが自分は同じ車いすですが、男なのでそういう被害を受けたことがなかった。ほかの男性車いすユーザーも被害に遭っていなかったので、全然ピンときていなくて。

そうしたら彼女が周囲の女性たちに聴き取りをしてまとめてきました。それが今年の8月25日にDPI日本会議のホームページで公開した12件の被害事例です。それを読んで、これは駅アナウンスが問題だとよくわかりました」

 12件の事例は、本当に腹立たしいものばかり。似たような経験をした女性は少なくないのではないでしょうか。被害の事例は、以下のようなものでした。

◆可哀そうにと足をさすられた、誰も助けてくれなかった

可哀そうにと足をさすられた、誰も助けてくれなかった
写真はイメージです。(以下同じ)
【電車が動き出して間もなく男性が寄ってきて「品川でしょ? 送ろうか?」と何度も言われて、ずっと声を掛けられていた。やめてくださいと言っているのに周囲の人は誰も助けてくれなかった。(車いす使用者)】(2021年6月DPI日本会議調査より、以下同じ)