◆「正直、医者の僕でも育てられないと思う」

朝を迎え、前日の夜に駆け込んだ動物病院とは別の病院へ行くことにしました。申し訳ないのですが、「(赤ちゃん猫を)服の中に突っ込んでいれば、保温できるよ」と言った病院へ、わたしはどうしても行く気になれなかったのです。

醤油皿に載せられた子猫
醤油皿に載せてもこの小ささよ……
そして連れて行った新しい病院で改めて診てもらった……のですが、そこでまさかの厳しい言葉を突きつけられたのです。

「へその緒がついているような赤ちゃん猫は、育てるのがものすごく難しい」

「1時間半おきにミルクをあげたり、母猫が舐めて排泄をうながすように、股間部分をポンポンとさすってトイレの世話をしてあげないといけない」

「少なくても1か月はそんな生活を続けないと」

「それくらい手間がかかるのに、あなたは一人暮らしなんでしょ? 絶対にムリ」

「厳しいことを言います。……正直、医者の僕でも育てられないと思う」

1時間半おきに、トイレにミルク。わたしの仕事の時間は? 睡眠は? なんかもう、「かわいい♪」とか、「助けてあげたい」という気持ちだけではどうにもできない壁を感じ、先生の言葉に目の前が真っ暗になりました。

ただ、相当の覚悟がないと育てられないということを、先生はあえて厳しい言葉で伝えてくれたということも分かっています。