■地に足のついたネトフリ、“空疎”な民放

 さらにクリエイターサイドのメリットとして、収入面も無視できない。「桁が違う」と言われる報酬の高さはもちろん、浮き沈みが避けられないクリエイターが、5年の専属契約の中で安心して作品づくりに専念できるのは、魅力的な状況であることは確かだ。

 表現の自由度、制作費、撮影環境など、さまざま面で民放ドラマを置き去りにしているNetflix。『地面師たち』や『極悪女王』、さらにはAV監督の村西とおる氏の人生を描く『全裸監督』など、実際にあった出来事をベースとした作品が人気である事実もまた、Netflix優位な状況を象徴していると見ることもできる。

「近年、視聴者が“作りモノ臭”の強い作品に興味を示さなくなってきたように感じています。MLBの大谷翔平や大相撲の大の里のように、現実世界にスーパーヒーローがいて、フィクションよりも圧倒的な現実に目が向いてしまう。そのなかで、Netflixは実際にあった作品を上手にエンタメ化するのが上手ですよね。エロいシーンを含め、人々の根源的な情熱を掻き立てる見せ方がとにかくうまい。民放ドラマがどんどん空疎に見えてきてしまう」

いま視聴者が求めていることを自由に、かつ潤沢な予算をかけて作ることができるNetflixに、才能あるクリエイターが集まるのは当然のことだろう。Netflixという強大なライバルを前に、民放各局の苦戦は今後も続きそうだ。