今年3月にひろゆきが脱退した新メンバーを迎えたGAGは、旧メンバー時代の17年~20年に『KOC』4年連続ファイナリストという記録を残しているが、その3人での「記憶喪失」ネタはやはり、ひろゆきを女形にした彼らの強みが生きていた。

 彼氏である福井が記憶を失い、その恋人であるひろゆきが医師・SJから説明を受けるシーンから始まり、ひろゆきのことをまったく覚えていない福井の一言から一気に物語が展開していく。バカバカしさとロマンチックが両立した、これも当時のGAGらしいネタだった。

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 こうしてみると、「記憶喪失」というテーマはオーソドックスな設定だけに、それぞれの芸人が強く個性を出そうという意識を持ってネタを作っているように見えた。また、「本来の自分」や「過去の記憶」はその人物のキャラクターそのものを形作るものであるため、それぞれの芸人の「ギャラ自認」についても明確に打ち出されていたように思う。

 そして、さすがファイナリストだけあって、やはりそれぞれのネタが似ているようで似ていないのである。

(文=新越谷ノリヲ)