2日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で放送された「記憶喪失王決定戦」。芸人たちが記憶喪失を装い、後輩に演技であることがバレないように振る舞うという企画だった。

 挑戦したのはアルコ&ピース・平子祐希、トム・ブラウン・みちお、マヂカルラブリー・野田クリスタルの3人。それぞれが、柔術家に締め落とされたことをきっかけに記憶を失ったふりをして“ピュア系”の後輩を騙すというもので、締め落とす柔術家にクレベル・コイケを呼ぶという念の入れようだった。

 企画では3人がそれぞれ個性あふれる「記憶喪失っぷり」を見せる大喜利を繰り広げ、後輩たちを見事に騙して見せた。

 テレビドラマの世界では、今年の春クールで5本の「記憶喪失ドラマ」が放送されていたという。それほど、「記憶喪失」という現象とフィクションの相性はいいということだ。お笑いの世界でも、どんな芸人でも一度は「記憶喪失」をテーマにネタを作ったことがあるに違いない。

 今回は、YouTubeから「記憶喪失」をテーマにしたコントをピックアップ。中でも、コントの精鋭である『キングオブコント』(以下、『KOC』)ファイナリストたちの記憶喪失ネタを紹介したい。

■記憶をなくした人と、その友人

 昨年『KOC』で初ファイナルを経験し、今年も2年連続でファイナルに上がってきたファイヤーサンダーの「記憶喪失」は、交通事故に遭ったこてつが入院している病室に、親友だった崎山が訪ねてくるシチュエーション。心配する崎山に「君は誰……?」とこてつが尋ねるシーンから始まり、こてつが記憶喪失になっていることが明かされる。

 必死に親友であることを訴える崎山に対し、こてつは「覚えてないな……」「なんか、ごめんね……」とにべもない。こてつが自分のことをまったく覚えていないことを理解した崎山が、こてつにまず要求したこととは……? 記憶を失った側のこてつの情報ではなく、崎山の性格の悪さ、陰湿さが次々に明らかになっていく展開は新鮮である。