それと同時に、この新しいルールをきっかけに、利用者の皆さんに『なぜ今まで公園に禁止事項が多かったのか』『やりたいことがなぜできなかったのか』ということを考えていただきたいという思いがあります。
区のホームページでは、公園利用者から届いた声も紹介しています。これらの声を見ていただくことで、利用者や近隣の方はどう感じているのかを、さまざまな立場から考える機会になるかと思います。花火やボール遊びも、『ルールでOKになったから自由に楽しんでいい』ではなく、『花火はできるけれど、周囲に住宅があるから、少し気をつけて楽しもう』という譲り合いの気持ちを持っていただきたいです。
逆に、公園の近隣にお住まいの方にとっては、子どもの声がうるさく感じられるかもしれません。でも、それだけ子どもの遊ぶ場所がなくなってきている、という現実にも気づいていただきたいです。『公園を利用する際は譲り合いましょう』という言葉を耳にしたことがあると思います。でも、実際にこの言葉の意味を深く考える機会というのはなかなかないので、新しい公園のルールの試行を機に考えていただければと思います」
◆利用者たちが、利用しやすい公園に育てていく
――今後、公園事業で新しく取り組みたいことがあれば教えてください。
大場「『新しい公園のルール』は現在、試行段階です。採用ではなく試行としているのは、その先を見据えてのことです。新しいルールを通じて、公園がみなさんにとって居心地の良い場所になれば、自然と行きつけの公園ができますよね。すると、自分たちでもっと公園を快適にしようという思いも生まれるはずです。
現在も、掃除をしたりお花を植えたりとボランティアで活動してくださる方々はいます。利用者が自発的になることで、さらに利用しやすい公園に育てていくことができます。杉並区内にはおよそ358箇所の公園があるのですが、決められた職員ですべての公園をきめ細かく運営していくのは、現実的に限界があります。ですので、利用者にも入っていただいて、自分たちで使いやすい公共の場にしていただきたいです」