沖田 いえ、原作小説をベースに、ドラマの脚本はさらに映像表現にハマるような内容になっています。なので、ドラマを見る前に小説を読んでもらってもドラマを観て小説を読んでもらっても、それぞれの面白みを感じてもらえると思います。あくまで、小説は小説、映像は映像、そして、今は漫画化もされていますが、漫画は漫画の世界観とそれぞれの良さがあると思うんです。自分はそれぞれに筆を入れていますが、細かな内容が異なっていたとしても、すべてが『インフォーマ』という世界に含まれる作品であることは間違いありません。それぞれの世界を使い分け、書き分けしながら育てているというイメージですね。ただ、それらの軸となるのが、映像だという認識はあります。

――バンコク・ロケでは、前作以上の激しいアクションや危険な場面もあったと聞きます。撮影中の印象に強く残るエピソードや場面を教えてください。

桐谷 5話までの舞台がバンコクなのですが、銃撃戦やトゥクトゥクでのカーチェイス、それから現地の人も入らないような川に2人で飛び込んだりもしました(笑)。実際の廃刑務所を使った撮影もありました。全部が本当に濃くて、印象強くて、そんななかで、見たことのないすごく面白い絵が、しっかりとれたなっていう感覚があります。だから、どのシーンっていうか、全部印象深いです。舞台が東京に移っても、東京を描く空気感がすごく独特なんですよね。タイから東京への空気の変わり方も、作品の大きな見どころになっていると思います。

佐野 僕もバンコクでの出来事はすべて印象に残っていますが、そのなかでもやっぱり廃刑務所での撮影ですね。1週間刑務所暮らしっていうのは、なかなか経験できません(笑)。セットじゃない本物の廃刑務所だからこそ醸し出せる雰囲気のかっこよさ。そして、刑務所での撮影のときには100人ぐらいのコワモテのエキストラさんがいたのですが、その人たちが「本物?」と思うほどリアルで、ちょっとでも〝メシ押し〟すると、「……んだよ」みたいなことをタイ語で言って、現場がピリピリしているのがめちゃくちゃ怖かったです(笑)。基本的には、明るくていい人たちなんですよ。でもメシ押しすると……(笑)。