『虎に翼』(NHK総合)の主人公・佐田寅子の開心術はすごい。最初は単なる変わり者にしか見えなかった星航一(岡田将生)が、今や笑顔の人になっている。

『虎に翼』© NHK
『虎に翼』© NHK
 それにしても笑顔の人になってからの航一は横顔ばかり写る。それはなぜだろう?

 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、横顔ばかり写る理由を考える。

◆看板メニューのハヤシライス

『虎に翼』© NHK
「お二人ともいつものでいいのかしら」

 佐田寅子(伊藤沙莉)にとっては、明律大学女子部時代から一緒に法律を学んだ学友。最高裁判所初代長官・星朋彦(平田満)の息子で、今は新潟地方裁判所の判事である星航一にとっては、なじみの喫茶店の店主。

 男爵家出身の桜川涼子(桜井ユキ)は、戦後、新潟の地で元お付きの玉(羽瀬川なぎ)とともに喫茶店ライトハウスを営んでいる。街の人々から愛されるこの店に、常連客の航一が寅子を連れてくる。寅子と涼子が再会したのが、第17週第81回。

 それからというもの、寅子と航一にとって憩いの場所になる。毎週通ってくれる二人に対して涼子が、看板メニューである「いつもの」ハヤシライスを提供する。それを嬉しそうに待っている航一の表情が毎回見逃せない。

◆見切れるくらいぎりぎりの航一

 広くはない店内だが、寅子と航一には定席がある。調理場の様子が見え、涼子と玉と楽しく会話できるカウンター席。カウンター内から見て、右手に航一、左手に寅子が決まって座る。

 基本は寅子と涼子が女子部時代のようにおしゃべり。航一は黙っている。カウンター内から運ばれてくるハヤシライスを見て、航一はただただ嬉しそうに微笑む。

 第81回、ハヤシライスを初めて食べる場面では、画面上手の航一が見切れるくらいぎりぎりで写り込んでしまったかのように捉えられている。その後の喫茶店場面でも、航一は寅子の横で見切れそうになることが多い。