これも実は『紫式部日記』に登場するエピソードなのですが、なぜ倫子が退席までしてしまったかの理由は今日まで明らかにされていません。泥酔した道長が彰子にむかって口走った「母上(=倫子)はいい夫を持ったなぁ」という自画自賛に不快を示したともいわれますが、それもどこか不自然ですね。やはり道長と紫式部の「関係」に嫉妬して不快を隠せず、退出したともいわれますし、『紫式部日記』の別の部分で、紫式部の局(つぼね)を深夜こっそり訪ねてきた道長を招き入れはしなかった……という匂わせ描写とあわせると、紫式部=道長妾説が囁かれるのも無理はないという気はします。日記の中で、清少納言(ドラマではファーストサマーウイカさん)や和泉式部(ドラマでは泉里香さん)などの人柄をケチョンケチョンにけなしている紫式部ですが、自分もけっこうゲスいことをやってしまっているのには苦笑するしかありません。