寅子がかけつける。床に正座する桂場。鼻に紙をつめた航一が、桂場の膝に、頭を付けて仰向けになっている。膝枕をする桂場は、航一のためにできるだけ身体を縮こまらせ、全身を固定している。珍事ともいえる、この膝枕事件が、桂場の動作を完全に封じ込めた瞬間だ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu