◆「セックスの喜びを感じないまま枯れたくない」
ドラマの中で佳恵が「認知症になった義母」のことを話すシーンがある。老人ホームにいる義母が職員や他の入居者に卑猥な言葉を投げつけるというのだ。「性欲や恋愛感情は年をとってもあるらしい。認知症を患うと、それが強く出ることもある」と。
そんな義母の姿を見て、「このまま枯れたくない」「セックスの喜びを感じないまま年をとるのって嫌」と佳恵は思ったのだ。
ミサコさんも同じだった。そして今、彼女は思いきった行動をとった自分に満足している。
「誰もがこんなことをして満足かどうかはわかりませんが、少なくとも私はよかったと思ってる。行動しなかったら今ごろ、きっと後悔していましたから」
艶然(えんぜん)と微笑んだ彼女のその表情が今も脳裏に焼きついている。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio