東出昌大さんの顔つきが変わってきたなあと思った映画が『福田村事件』である。

©「福田村事件」プロジェクト2023
©「福田村事件」プロジェクト2023
今から100年前、関東大震災の5日後に千葉県東葛飾郡福田村で起きた事件を、ドキュメンタリーを主戦場としてきた森達也監督が劇映画として撮った。その構想が発表されると、東出さんは自ら制作サイドにコンタクトをとり、参加したい意向を示したそうだ。その結果、獲得した役は、福田村に流れる川の渡し守り・田中倉蔵である。

福田村はごく一般的な共同体である。仕事や行事は協力して行い、集団のルールからはみ出した者には厳しい。そのなかで倉蔵は、集団に属さず一匹狼のようにして暮らしている。が、村の人妻と関係を持ち、それが由々しき問題とされる。