◆女王として生きる

「本当の愛国主義とは、他人の愛国主義を理解することです」

愛国主義についての本質を突いたと称賛される言葉だと、本書には書かれています。愛に満ちあふれたエリザベス女王の人となりを物語るとともに、他者への深い理解が込められていると思いませんか。ひとりひとりが自国への愛を明確にしていけば、自然と他者や他国を敬う気持ちもわいてくるのです。

『英国女王が伝授する 70歳からの品格』
『英国女王が伝授する 70歳からの品格』より
「君主」としての運命をかせられたのは、エリザベス女王が10歳の頃。当時から利発で聡明だったといいますが、まだあどけない少女にのしかかるプレッシャーは、相当なものだったでしょう。やがて初恋の相手、フィリップ殿下と結ばれます。エリザベス女王が21歳、フィリップ殿下が26歳でした。

『英国女王が伝授する 70歳からの品格』より
恋に落ち、結婚、出産。女性としての幸福と女王としての責務の狭間で、苦しんだこともあるかもしれません。それでも、「私たちは、気を散らせるものがあふれる世の中で、立ち止まり、吟味することを忘れてしまいがちです」と、自身や他者を労わり、時にゆとりを持つ大切さを説いています。

多忙を極めるエリザベス女王の、実感と経験に基づいた含蓄(がんちく)ある一言です。