◆気づいたら大きなベッドで、夫たちと並んで“してた”
最初に話しかけてくれた同世代の夫婦と会話が弾んだ。夫がその妻とひそひそ話し始め、リョウコさんはその夫に手をとられてベッドに導かれた。
「気づいたらクィーンサイズの大きなベッドで、夫たちと並んでしてたんですよ。隣で夫が女性としてる。私は夫ではない男性としてる。でも夫と私は目を合わせている……。ものすごく倒錯した気持ちになって、それが快感に火をつけた」
帰宅する車の中で、夫はぽつりと「リョウコ、きれいだったよ」と言った。あんなに感じているところを見たのは初めてだった、悔しい気持ちになった、とも。
◆ふたりとも性に対して歪んだ考えを持っていた
「夫は、『オヤジが浮気しておふくろが泣いているのを子ども時代に見たことがあるんだ。おふくろは、男は汚いと小学生の僕に何度も言った。それがいつまでも心に残っていて、セックスを楽しいものだとは思えなくなった』と言うんです。だから娘が産まれてから、もうしなくていいとホッとしたって。
泣きながらそう言った夫に、私も似たようなものだと言いました。私の母は、『女のセックスは切り札だからね』というタイプだった。うまく使って得をしろと言われていたんです」
ふたりとも性に対して歪んだ考えを持っていた。夫は自分の歪みに気づいたからこそ、タブーを冒すことで思い込みから脱出したかったと話してくれた。
「性は、自分が得をするための道具ではないんだと、あのパーティで気づかされました。来ている人たちは純粋に快感や楽しみを求めていた。それ以降、夫といろいろなことを話し合いました。お互いに初めて心の奥底までさらけ出した。その上で、改めてパーティに通い、夫婦ぐるみでつきあえる友だちも見つけました」
コロナ禍でも検査やワクチンをした上で、夫婦同士で交換することもあれば、食事会だけでおしゃべりに終始することもある。