連ドラでミステリーをやる場合、やっぱり最終回に起こる事件というのは作中でもっとも魅力的で、総決算な感じを求めたくなるものです。作中に張り巡らされた伏線が一気に回収されていくような爽快感だったり、登場人物たちの心境の変化に大きく寄与するようなカタルシスだったり、そういうものじゃないですか、最終回って。
というわけで、『ギークス~警察署の変人たち~』(フジテレビ系)も最終回。振り返りましょう。
■犯人すげーバカじゃん
鑑識官の西条(松岡茉優)らが勤める小鳥遊署の管内で、奇妙な空き巣事件が続発。盗まれたのは歯ブラシやコップといった小物ばかりで、金目のものは盗まれていません。そして、現場にはオランウータンの足跡が残っている。
同じころ、市民ホールや病院に爆弾が仕掛けられ、爆発するという事件も発生していました。爆破の前には必ず、ネット上の掲示板に爆破予告が書き込まれています。
一見、無関係に見える2つの事件が実は裏でつながっていた、というのは『ギークス』で何度か採用されているパターンです。ミステリー的にいえば、この2つの事件のつながりがこれまでになくダイナミックだったり、過去回のどこかのエピソードとつながっていたり、あるいは「いつものパターンか」と思わせておいて大きく裏切るトリックが用意されていたり、いろいろな期待が膨らむ導入です。
で、結論からいうと、もう超ガッカリでした。犯人が現場にオランウータンの足跡をわざわざ偽造して残したことや、爆弾に変なマークを入れていたことが決め手となって事件が解決するわけですが、これ2つとも犯人が意図的にやってることなんです。オランウータンの足跡を残さなければ西条たちは犯人にたどり着いてないし、変なマークを入れてなければ犯人と爆弾のつながりが見いだせない。要するに、すごくバカなやつを最終回の犯人に持ってきてしまっている。バカなやつが起こした事件は、魅力的なわけないんです。