◆映画化までに10年かかったワケ
――10年前に出版された、葉真中顕さんの同名小説が原作です。当時から、前田監督と松山さんが温めてきた企画だと伺いました。映画化にここまで時間がかかったのは?
松山ケンイチさん(以下、松山)「これって基本的には見たくない、フタをしていたいテーマなんです。誰だって“死”と向き合いたくはないし、なんとか先送りにしていたい。それをなぜわざわざ表に出すんだということで、やっぱり10年かかったんです。
でも10年の間に、それこそ10年前だとちらほらとしか聞かなかったような、介護殺人といった事件、社会問題が、ニュースやドキュメンタリーで取り上げられるようになって、認知されるようになってきた。今こうやってみんなが気づき始めたから、映画として成立したというのはあると思います」
――確かに、とてもリアルに刺さってくる今日的なテーマであり、作品です。
松山「10年前にこの小説を書いた葉真中さん自体が、まずすごいと思いますが、引きこもりとか、8050問題とかも、ここ数年で一気に認知が広がったんですよね。やっぱり今生まれるべくして生まれた作品なんだろうと思います」