◆「セクハラ対策委員長」が一番のセクハラ大魔王

 その後も希美さんはいたるところで、「ここでやろ!」と誘われたり、「今日、お前んちに泊まりに行くから!」と本当に家まで押しかけられたり、帰れなかった時用に会社のロッカーに常備して置いた希美さんの下着を先輩がかぶって社内を走り回っていたこともありました。

悩まされている女性
 そして決定的にショックを受けたのは、信じていた上司からの仕打ちでした。

「お前、ひどいセクハラに遭っているらしいな。飯を食いながらちょっと話を聞かせてくれ」

 と呼び出され、「やっと助かる」と思ったその夜。希美さんの話を聞いているうちに、上司はグイグイと酒を飲み、明らかに興奮している様子に変わっていったそうです。

「店を出た途端、上司は豹変しました。元々柔道をしていたので力も体も大きいんです。壁に力ずくで押し付けられ、お酒臭い舌を無理矢理私の口に滑り込ませてきました。力では敵(かな)いませんでした……。

 上司が一瞬力をゆるめた瞬間、タクシーに飛び乗り、事なきを得ましたが、あの恐怖は今でも忘れられません。

上司の強要
 その上司はその後、セクハラ対策委員の委員長になりました。私が辞表を出したことは言うまでもありません」

 ここまでいくともはや性犯罪で、“セクハラ”だけでは片づけられませんが、希美さんは「怖くて泣き寝入りするしかなかった」といいます。今でもその上司は、会社の上層部に残っているそうです。

―私達の身近な「セクハラ」―

<TEXT/大伯飛鳥>

【大伯飛鳥】

美容と恋愛にやっと興味を持ち始めた30代半ば。芸能、事件、H系、興味ある事案に猪突猛進・突撃取材系ライター