それはサッカーやコンサートでも同じこと。不景気が続く今、庶民の財布の紐は締まりに締まっている状況ですから、コンサルの口車に乗せられて安易に値段を変動制にして、富裕層ばかり優遇するようなことを行えば、きっと手痛いしっぺ返しを喰らうことになりますよ」(大手紙記者)

 料金変動制は、その気になればどんなことでも行える。

「JR東日本は2020年、乗車距離によって料金が決まる現在の運賃設定について、時間によって運賃を変える制度の導入を検討していることを明らかにしました。これについては国土交通省も前のめりで制度設計を行っており、遠からず導入される可能性は高い。鉄道各社は大幅な値上げはしないという姿勢ですが、こればかりはフタを開けてみなければ分かりません。

 これが実現すれば、通勤通学の際、ピーク料金を払う余裕がない人間はムダに早起きしたり、遅く会社に出る分、遅く帰る生活を強いられることもあり得ます。混雑解消の試みは続けられるべきですが、“すべては金次第”というやり方は、利用者の意見も募るなど、慎重に進める必要があるのではないでしょうか」(ビジネス誌記者)

 時間や快適さを金で買える世界は金持ちにとってはユートピアだが、大多数の庶民に待ち受けているのはディストピアなのかもしれない。