利益を最大化するため、変動制の料金を導入する業界は多い。ホテルや飛行機は以前からピーク時に高い料金を設定しているが、最近はディズニーランドやUSJも変動料金(ダイナミックプライシング)を導入。Jリーグでも、人気の試合とそうでない試合で料金を変える試みが行われている。

「日本に先駆けてダイナミックプライシングを導入した欧米では、文字通りダイナミックな価格設定をするケースが多く、大物ミュージシャンのライブでは最前列に数十万円の値がつくケースもあります。

これまでは運さえ良ければ、1万円程度の料金でアーティストを目の前で見ることも可能でしたが、これからは“金持ちほど前に座る”というのがスタンダードになりそう。えげつない例では、最後列から1列ごとに値段を上げていくやり方さえあります」(エンタメ誌記者)

 需要が多ければ値段が上がるのは経済原則としては正しいが、それが正解かどうかは、そう簡単ではない。

「最新の例で言えば、インバウンドが戻ってきた北海道や大阪などでホテル料金がべらぼうに上がるケースが相次いでいます。確かに、客が殺到すれば料金を上げるのは当たり前ですが、これまで数千円で泊まっていた客が、いきなり2万、3万といった料金を求められれば、当然、満足度は下がる。短期的に見れば売上は上がっても、長期的に見れば顧客を失うわけで、ビジネスとしてどちらが正解なのかは、簡単に答えが出る問題ではありません。