◆役者本人から役に影響する部分は「全部」
――とても素敵なチャーリーに魅了されましたが、それはブレンダンさんが演じたからこそだと感じました。役者さん本人から役へと影響する、にじみ出る部分はどのくらい強いものがあると、ブレンダンさん自身は考えますか?
ブレンダン・フレイザーさん(以下、ブレンダン)「それはもう全部だよ。チャーリーが、自分の脆さや正直な部分を求められる役だったから、ということも大きいけれどね。全部だと思います。この作品は、もともとサム・ハンターさんが個人的な経験をベースに書いた戯曲で、いろんな役者さんが舞台で演じてきました。
僕はまだ舞台版を観たことがなくて、いつか観たいとは思っているのですが、話で聞くところによると、今までの方のアプローチでは、もっとアグレッシブで怒りの強いチャーリーだったそうなんです。ステージではそれが有効かもしれませんが、映画だと細かいディテールが全部捉えられるので、違うかなと。何か型を使うタイプの演技ではなく、誠実に演じるしかないと思いました。サムさんも理想のチャーリーだと僕に伝えてくれました」
――とてもチャーミングなチャーリーでした。
ブレンダン「チャーリーは物理的にも非常に小さくて暗い部屋の中にいる、灯台のようなキャラクターです。そして、光に向かっていき、最後には彼自身が発光して、観客とともに互いの感情を感じ合い、みなで、ある種のカタルシスを経験します。僕がお話した方には、この映画を観て、『疎遠になっている家族と連絡を取りたくなった、できるような気がします』と言ってくれる人が結構います。それができればそこにもカタルシスが訪れるでしょうし、癒しに繋がるかもしれないと思っています」