あるいは、1stアルバム『The Chocolate Box』のリード曲「Only One For Me」のミュージックビデオや『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(Netflix、2023年)など、一貫して鏡に写る人としてふるまってきた作品間の豊かな類似がある。

 2ndアルバム『ARTLESS』のワートワークには『誰も知らない明石家さんま』で初披露した絵画世界に配色したような自作を選んでいる。筆者は『ARTLESS』Blu-ray特典映像収録時に等身大サイズに拡大されたパネルを前にしたが、アートが屹立するのを感じ、作り手の筆運びを追体験した。

 その意味では24時間以内に完成させる必要がある今回のアート制作では、その過程をつぶさに垣間見ることができる。筆をスプーンに持ちかえ、手元をいかに安定させ、完成を待つカンバスの現実と向き合うのか。そしてそこにどんな未来図を見るのか。

◆緊張の空中的ライブアート

 24時間といっても、制限時間がたっぷりそのまま制作にあてられるわけではない。ぴあアリーナMMでの『Song for 能登!24時間テレビチャリティーライブ』や会場間の移動、各コーナーのVTR視聴などが含まれている。8月31日の放送まで3時間のタイミングで放送された直前スペシャルからすでに大忙しだ。

 まずチャリティーライブにトップバッターで登場。『ARTLESS』のリード曲であり、ソロツアーでは各地の会場を祝祭的ムードの楽園へ誘ってきた「Paradise」を披露。「もう止められない今更」と心強い宣言としながら、チャリティーマラソンランナーのやす子への応援歌とした。

 歌唱後、すぐにメイン会場が置かれた両国・国技館へ移動。道中の車内からCLのLIVE CASTをつなげてファンに向けた配信を行い、当日にこぎつけた喜びをコメント。