こういうところが、このドラマがホラーだと言っているんです。弥生さんという人間の人生を端から潰しにきてるんです。
だってさ、夏くんがパパになるのはいい。弥生さんはこの時点で何も決断しないまま、「年下のシングルファザーの彼氏がいる普通の会社員」を続けることだってできたわけです。それで、だんだん一緒にいる時間が増えて、海ちゃんが中学生になるころに「やっぱこのままずっと一緒にいるのが正解かもね」って実感を得てからだって、どうにでもなる。別れるなら別れるで、そのときでいいはずなのに、あの手紙を寄越されてしまったから、弥生さんは「今、ママになる」か「別れる」かを決めなければならなくなった。
結果、引き裂かれた。そういう話だもんな。怖いよ。
あと一番怖かったのは、病室で手紙を書いてるのを見つけた津野くん(池松壮亮)ね。「これ渡されたら大変なことになるぜえ」っていう共犯者の顔だもんな。「ざまあみろ」って、その顔に書いてある。
あれ、なんか登場人物について批判的に書いてしまったけど、これ全部「こういうところがホラーとしておもしろい」って感想文です。いちおう、念のため。
(文=どらまっ子AKIちゃん)