スオミを取り囲むのは、彼女を愛した年齢も職業も異なる5人の男性たち。スオミの失踪を聞き、現夫である大富豪の豪邸へ集まるのだが、彼らが語る思い出の中のスオミは見た目も性格も異なっていて...。“彼女はどこへ消えたのか?スオミとは一体、何者なのか?”を軸に物語は進んでいく。
「スオミの七変化もそうですが、5人の男性陣のシーンに注目してほしいです。私も台本を読んだときからあの個性的なキャラクターたちがどんな風に描かれるのだろうと楽しみにしていたのですが、出来上がった映像は想像以上でした(笑)。例えば、遠藤憲一さんが演じたスオミの初めての旦那“魚山”のどこか抜けている感じとか、2番目の夫、松坂桃李さんが演じた“十勝”の独特な笑いの間とか。それぞれのキャラクターの良さや愛らしさが随所に散りばめられているんです。それだけではなくて、西島秀俊さんが演じた4番目の夫“草野”はスオミの前ではとっても細かい人間なのに、男たちの中ではとっても大らかに笑っていたりして。そんな新しい驚きと発見が全部面白さに繋がっていくのは、三谷監督の作品ならではだと思います」
作品のラストに出てくるミュージカルシーンも必見。これは“作品を最後まで楽しんでほしい”という、三谷監督の想いから急遽追加されたというから驚いた。
「撮影と同時進行でミュージカルのお稽古をしました。これがより一層、映画なのに舞台劇のような感じに仕上がっていてお気に入りです。観てくださる人を最後の最後まで飽きさせないと思います」
撮影前には1ヶ月という舞台さながらの長い稽古時間が設けられたそう。
「芝居に没頭しているというか、芝居づけの日々という感じでとても良い環境でした。もちろん、その場の瞬発力でパッとやるというのも良いのですが、やっぱり時間をかけて良いものを作りたいという想いは、私だけでなく周りの俳優さんにもありますし、それが叶った今回の現場はとてもありがたかったです」