「王道の子供向け作品は結果として、大人の鑑賞にも耐えうるものになる」というのが宮崎駿の考えで(当時、宮崎は王道の冒険活劇もの『名探偵ホームズ』の演出を手掛けていた)、作られた物語はまさに王道の冒険活劇だった。

金ロー放送17回目(笑)『天空の城ラピュタ』のストーリーをさっと解説

 現在の科学力を凌駕する超古代文明をつくりあげていた古代人たちは、空に浮かぶ巨大な島「ラピュタ」をつくり暮らしていたが、高度に発達しすぎた文明により生命力を失ったラピュタの民は謎の奇病によって滅亡の道をたどった。わずかに生き残った民はラピュタを捨て、地上に降りた。その後もラピュタは飛行石の力によって空を浮遊し続け、ラピュタに近づこうとするものは巨大な空気の渦「竜の巣」によって追い払われ、やがてラピュタの存在すら伝説となっていった。

 ラピュタの存在を知り手に入れることを企む政府の秘密機関はラピュタの民の末裔で、ラピュタへの道を示す飛行石を持つ少女、シータを捕らえるが飛行石を狙う空の海賊ドーラー一味の襲撃を受け、シータは飛行船から落下。飛行石の力によってゆっくりと落下していたシータを助けたのは少年パズー。パズーの父親は冒険家でかつて伝説とされた「空に浮かぶ城ラピュタ」を写真に収め、人々にラピュタの存在を触れ回ったが誰にも信じてもらえず、詐欺師と蔑まれて亡くなった。父親を信じるパズーはいつか、冒険の果てにラピュタを見つけることを夢見ていた。シータの持つ飛行石がラピュタへの手がかりとなることを知ったパズーは冒険に出ようとするが政府の秘密機関に属するムスカ大佐の一派によって捕らえられ、パズーの命と引き換えにシータはムスカたちに協力させられる。

 失意のまま家に戻ったパズーはドーラーたちの襲撃を受け、彼女らとともにシータを取り戻す旅に同行する。

 無事シータを救い出し、ラピュタを目指す二人は軍の追手によりドーラー一味と分断され、ラピュタを守る「竜の巣」に飲み込まれる。「竜の巣」の中で父親の幻を見たパズーとシータは気が付けばラピュタ城の庭園にいた。あった! ラピュタは本当にあったんだ!