◆婚活で参考にしたい「HOW TO」
――病気を抱えたまま婚活を始めることに対して、躊躇(ちゅうちょ)する方も多いと思います。また、様々な理由で体重が増えたためダイエットしてから婚活を始めたいと思う人もいるかもしれません。まず一歩を踏み出すためには何が大切なのでしょうか。
石田:もちろん、ご自分のしたいようにするのが一番だと思います。ただ、病気の種類にもよりますが私のような病気は治らないので「治ってから婚活する」というのは難しいです。
また、生涯の伴侶を選ぶ時に、スタイルがいいから、美人だからと寄ってくる人を増やす必要はないと思います。ダイエットには無理をすることが必要ですから、無理をした状態の自分にOKを出す人と生涯寄り添うことは難しいのではないでしょうか。いつでも止められると思って始めてみるといいんじゃないかなと思います。
――精神疾患の方のために困った時のHOW TOが漫画版にも出てきます。このような対処法はどうやって生まれたのでしょうか?
石田:自己流のものや診療仲間達と編み出したものもあります。教科書や専門書には載っていないものを集めました。仲間達とどんなことに困っているか話すと共通していたりするんです。「これをして失敗した」「あれをしたら良かった」と話し合う中で作り上げていきました。
「HOW TO編」は、医学書院の編集者の白石正明さんにもお墨付きをいただいた、真のソーシャルワークだと自負しています。専門家の意見は大切ですが、専門家だからこそ言えないこともあったりします。そのため、専門家と、当事者の知見との両輪で進むことが大切なんです。私は当事者側としての、サバイブするスキルやテクニックを伝えていきたいと思います。
――病気ではない方にも参考になるHOW TOだと思います。にゅすけさんは印象に残った対処法はありましたか?
にゅすけ:漫画にはまだ登場していないのですが、依存症の方が「今日も(薬物やアルコールなどを摂取せずに)生き延びたこと」を視覚化するためにカレンダーに“ニコちゃんマーク”を描いていくというHOW TOがあるんです。マークが並んでいるのを見ることで、「自分はこれだけ生き延びたんだ」と実感できるようになります。
漫画家は、いくら描いても売れなければ報われないし、生きている実感がなかなか持てないんです。でも「今日も描けたぞ」と視覚化するのは、自分にも使えるのかなと思いました。